老親と700キロ離れた一人っ子に起きたリアル(莉音)

一人っ子、遠方の両親が同時に倒れた。終末期医療・介護・死後事務・成年後見・「負」動産処分など。精神面や金銭面の話も書いていきます。時々脱線。どなたかの心に届きますように…

心配と分岐点

ただ、パートナーが失業中だったので、休みやすかったのは不幸中の幸い。
おかげで、私の喪服や着替えを持ってきてもらう事ができたことには感謝したい。

母がいよいよ危ないとの電話を受けて、両親が入院している病院に一緒に行く。
父の意識はまだ戻らない。

人の聴覚は最後まで生きていると言われている。

CCU(集中治療室)
沢山の管に繋がれた母のベッドサイドで私は彼に言った。

「母は何のプランもなく会社を辞めたあなたをとっても心配していた。何か言ってあげて」
この時の彼の返事が酷すぎて忘れられない。

こういう時に人の本質は出るものだ。
しかし後で考えるとこれは大人の発達障害の一種にあてはまるとも思えてきた。

また、特に男性は仕事が上手くいかないと、
関係性が近い人かつ立場が弱い人に攻撃的になる傾向はあると思う。
職場でも家庭でも。

しばらくすると医師が
「少し落ち着きました。ご家族が倒れられてはいけませんので、
一旦お家に帰ってもいいですよ。また急変したら連絡します」

夕刻、お腹が空いていたので、お弁当を買って両親の住んでいたマンションに一旦戻る。
夕食の弁当を頂いたあと、私は風呂に入った。
携帯が鳴ったら夫に出てもらうようにして。

髪を洗っている最中だった。

「病院から連絡が来たよ」
急いで髪をタオルドライだけして、一つにくくって着替えた。
タクシーを呼ぶ。

11月の初旬。
夜が更けるともう外は冬の空気。
まだ濡れた髪で外に出ると、冷たい空気がピリピリと脳天を突き抜けた。