老親と700キロ離れた一人っ子に起きたリアル(莉音)

一人っ子、遠方の両親が同時に倒れた。終末期医療・介護・死後事務・成年後見・「負」動産処分など。精神面や金銭面の話も書いていきます。時々脱線。どなたかの心に届きますように…

感謝の最期

人ってこんなにあっけなく死んでしまうんだ・・・

病院に着いた。夜の11時頃だったと思う。

CCUの病室で立ち尽くす私に、
「手を握ってあげてください」と看護師さんが声を掛ける。

母には何と声をかけたらいいのか・・・
そうだ、人生の先輩女性が、
お母さまの最期に立ち会ったとき
感謝の言葉をかけ続けたと言ってたな。

「お母さん、ありがとう。私が最高の教育を受けられたのはお母さんのおかげ。本当にありがとう、ありがとう。」

母の目から涙が流れた。聞こえていたと信じたい。

「お父さんはB市に連れて帰るよ。
○○さん(夫の事)も~~のスキルがあるんだもん。きっと再就職できるから安心して」

「お母さん、今まで本当にありがとう、ありがとう、ありがとう」
泣きながら、ずっとずっと感謝の言葉を掛け続けた。

医療機器のピッ、ピッ、ピッという音と私のすすり泣く声だけが響く。
そして、ついにモニターの波形が、ピーっという音と共に

平らに・・・・

夜の11時40分すぎ。
長い長い夜はまだ終わらなかった。