老親と700キロ離れた一人っ子に起きたリアル(莉音)

一人っ子、遠方の両親が同時に倒れた。終末期医療・介護・死後事務・成年後見・「負」動産処分など。精神面や金銭面の話も書いていきます。時々脱線。どなたかの心に届きますように…

通夜の奇跡 #折り紙から伝わる思い

お通夜が始まった。

「お子さんは沢山食べるんです」

葬儀社の方に打ち合わせの際にこう言われた。
通夜振る舞いの話だ。

私もこの土地に住んでいた時に、
どなたかのお通夜には参列したかもしれない。
でも、別室で通夜振る舞いを頂いた覚えはない。

そんな習慣?なら仕方ない。
お寿司やオードブル、飲み物を沢山用意した。
私は弔問客に対応していたので、
通夜振る舞いをしていた部屋には行ってない。

後で聞いた話だが、
「あんなにたくさんの子供たちが涙を流しているなんて、
びっくりしたわ。
お母さま、本当に子供たちに愛されていたんですね」

母はA市の小中学校でスクールカウンセラーなどをしていた。
A市では当時、○○○○相談員という名前でボランティアも相談に応じていた。

母は、遠くのC市に住んでいた時、
私が幼いころは小学校の教員だった。
とても優秀な教員だったようで、
C市から遠い県庁所在地にある国立大付属小の教員へと
スカウトされていたと後で聞いた。

「お母さんが居なくなると困る人が沢山いるよ」
スクールカウンセラーではないが
別のボランティア仲間のOさんが言う。

「○○小学校、教頭の~~です。
お母さまには大変お世話になりました。
これ、子供たちからです」
と、女性の教頭先生。

子供たちからの手紙を綴じた文集と
沢山の折り紙。
母の逝去の知らせを聞いてから、
半日くらいしか準備できなかっただろうに
短時間でこんなにたくさんの子供たちからのメッセージと折り紙。

母は、相談室に来た子供たちに折り紙を教えて、
悩みに寄り添いながら一緒に折っていたと聞いている。
遺品には、折り紙の本も沢山あった。

「お母さまには、教員としての悩みや、
女性としての悩みも沢山聴いて頂きました。
本当にありがとうございました」
教頭先生からのお手紙も添えられていた。

私は泣き崩れるしかなかった。