#48 心の傷口に塩を塗られながらも・・・
とにかくやる事が次々にやってくるのだ。
人が死ぬと108の手続きがあると言われている。
私は全て一人で背負う事はわかっていた。
だから、そのような事に関する書籍も購入して
備えることはしていた。
親がこうなる前から
一番心配していたのは
住まいの後始末である。
最終的に住まいを空っぽにしてくれる
遺品整理業者についても、何件か目星をつけていた。
両親は当時
狭い2DKの賃貸マンションに住んでいた。
分譲マンションを賃貸する形式。
家賃の高い地域なので、
築年数は古く、駅からバス
(昼間でも本数が5~6分に一本はあるので便利ではあるが)
バス停からは歩いて5分以内という
まあまあ便利な地域でも、それなりの家賃はしていた。
事情があって、両親ともに70代の時に
こちらのマンションに移ったのだが、
高齢者でも借りられたのは
母が地域で信用があったことと
保証人が当時は一流企業に勤めていた
私の夫だったからだろう。
この点は感謝したい。
また、当時、私たち夫婦は、たまたま転勤で
このA市に住んでいたので、
物件探しや、不動産屋への対応、
引っ越しの手伝いがスムーズに出来たことも幸いした。
2DKといえども、
物は多い。
戦後、着の身着のままで引き揚げてきた世代。
戦後の貧しい時代を生き抜いた両親。
物が捨てられないのだ。
特に母はボランティア関係で頂いた
沢山のメダルや賞状、その他の文書類、
書籍・・・
もっとも書籍は図書館で借りる事が多く、
借りたままになっていた本は返却に行った。
図書館の職員から、
読みたい本リクエストが20冊ほど残っていると
聞かされた。
他には、外地から引き揚げてきたときの貴重な文書類
(これは郷土史資料館みたいなところに寄贈したい)
家族に関する文書類
悲しい事が書かれいた手紙
洋服が捨てられなくて、
山のように積み重なる洋服類
「びっくりすると思うが批判や非難はしないでほしい」
両親が同時に倒れて、
ここに駆けつけてくれた夫に、
事前にメッセージしておいたのに、
ドアを開けたとたんに、
「えれぇきたねーな、なんだこれ」と暴言の嵐。
他人の立場に立てない人には何を言っても無駄だった。
こんなに悲しみと不安でいっぱいなのに、
誰かの胸で泣きたいのに
「何泣いてるんだ!」と泣かせてくれない。
子供と同じだ。
prodigykerokero.hatenablog.com
しかし、背に腹は代えられない。
彼の力を借りないと、前に進めない。
どんなに暴言を吐かれようと。
最終的には、遺品整理業者に頼まないことには
部屋を空っぽに出来ないが、
それまでには、貴重品類やこちらで引き取るものを
探し出さないといけない。
これがまた気が遠くなる様な作業だった。
今でも、
「あー、あれは、捨てなかった方がよかったなぁ」というものが
沢山ある。
しかし、私の住むB市の住まいも狭いマンション暮らし。
物を増やすのは得策ではない。
年明けに、遺品整理業者を呼ぶ前に、
膨大な壁が立ちはだかったのであった。
物を捨てる、しかも、このA市に住民票の無い人が
物を捨てる事が、一筋縄ではいかないことなど
この時は予想もしなかったのである。
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