#47 温かく心の器が広い人・3
数日後、なんと
父は窓際に移る事が出来たんです。
寝たきりの態勢で、
どこまで外の景色が視界に入るかは
わかりません。
しかし、大きな窓から
自然の光を感じられることで
父の廃用症候群の進行度合いが
少しでもゆっくり進むことを祈るのみでした。
私はYさんのベッドにお礼を言いに行きました。
そこで、私は驚きのあまり、
涙を堪える事が出来なかったのです。
なぜなら・・・・・
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Yさんのベッド、
隣のベッドとの仕切りとなる
カーテンが閉じていました。
どうやら奥さまらしき方と歓談されている様子。
「こんにちは。○○(父の苗字)の娘です。
ちょっとよろしいでしょうか?」
カーテンが開く。
「父が、おかげさまで窓際に移る事が出来ました。
ありがとうございました。
父も喜ぶと思います」
車いすに腰かけていたYさん。
この時、Yさんの膝に
いつもぴっちりと掛けられていたひざ掛けが
少しめくれていたんです。
私は、この時、初めて知ったんです。
Yさんの片足が
なかったことを。
お礼を言い終わって、ベッドを離れたとたんに
私は涙が止まりませんでした。
ご自身、とっても辛かっただろうに
悲しかっただろうに
それなのに
私の事、そして父の事まで気遣ってくれた。
なんて素晴らしい人だろう。
こんな時、見ず知らずの他人に話しかけるような
心のゆとりってあるものでしょうか?
更に、周りの人を思いやるゆとりって、
生まれてくるものでしょうか?
心の器が大きいというのは、こういう事なのでしょう。
生きていくには、
お勉強も大事ですが、
もっともっと大切な事がありますね。
ここまでの振る舞いが出来る人は
本当に素晴らしいと思う。
こんな人に出会えたことに感謝したい。
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