老親と700キロ離れた一人っ子に起きたリアル(莉音)

一人っ子、遠方の両親が同時に倒れた。終末期医療・介護・死後事務・成年後見・「負」動産処分など。精神面や金銭面の話も書いていきます。時々脱線。どなたかの心に届きますように…

大病院では無理?

#23

11月初めに父が倒れたとの知らせで
700キロ離れたA市に駆けつけた。
父が死ぬのだと思って。

しかし、母が急死してしまった。
私の誕生日の夜、
私がB市へ戻ろうとしていた前夜に倒れて。

その後、
父はまだ寝たきり、半身まひ。
意識は戻ったが話は出来ない。
こちらの言っている事は何となくわかっているようだが。
食事は鼻からの管で流動食。

母が死んだことは、まだ知らない・・・
まだ言えない。
「お母さんは、今は来れないんだよ・・・」と
涙をこらえて言うのが精一杯だった。

間もなく師走になろうとしていた。

そんな時、Eさんから
「安心してB市に帰っておいで」という連絡が。

父を受け入れてくれる病院を、
コネクションを活用して見つけてくれたのだ。

しかし、またも夫が黙っていなかった・・・

「X病院、遠いぞ!やめとけ。大丈夫なのか?」
まずは脅すような口調で言われる。

「父のような患者を受け入れてくれる病院は
なかなか見つからないの。
Eさんによると、
まずはX病院に搬送して、それから、
これからの事を考えればいいよって。
X病院には長期で入院できる療養型の病床もあるし。

仮に施設とかに入るにしても、
まずは病院で検査を受けてからじゃないとダメなんだって。
だから遠くてもまずはここに父を搬送したい」

と言っても聞く耳を持たない。

彼も当時は、社会での居場所がなく、辛い状態だったのはわかる。

あとで知った事だが、
そんなとき、
特に社会で生きる事を性としている男性というのは
身近な女性に攻撃性を発揮するのだそうだ。

不満や不安、嫉妬・・・といった感情を受け入れられず、
マイナスのエネルギーを発散させる場もなく、

このエネルギーの黒い塊から飛び出す
何本もの導火線に順々に火が付き
身近で弱そうな女性に向けられることが多いらしい。

こんな時に、最初から否定や非難で入られるのは辛すぎる。

「うちの近所の大病院では、受け入れて貰えないのか?
ほら、今から電話しろ!」と
脅すように言われた。

言うだけでなく、もう彼は固定電話のプッシュホンで
その大病院の番号を押していた。

受話器が私の耳に無理やりくっつけられた。
呼び出し音が鳴っている。