老親と700キロ離れた一人っ子に起きたリアル(莉音)

一人っ子、遠方の両親が同時に倒れた。終末期医療・介護・死後事務・成年後見・「負」動産処分など。精神面や金銭面の話も書いていきます。時々脱線。どなたかの心に届きますように…

「本当のお母さんだと思っていたのに・・・」

#74 「本当のお母さんだと思っていたのに・・・」

両親がほぼ同時に倒れてから
私はB市の自宅と
700キロ離れたA市にある両親の住まいを
行き来しながら
母の死後事務
親の住まいの後片付け
そしてB市に搬送した父の介護看病

A市で泊まるのは両親の住んでいたマンション

両親の部屋の隣には
若夫婦が住んでいた

奥さんが北海道の出身のようで
「よく北海道のお土産をくれるのよ」
と、生前母が言っていた

若いのに珍しいとも

ある日、両親の部屋から私が出ていくと
その奥さんにばったり出会った

これまでの経緯を話した

「私にはお母さんが居ないので
本当のお母さんだと思っていたのに
優しくて大好きだったのに・・・」

彼女はその場で泣き崩れてしまった

私が部屋に戻ると
隣の部屋から
彼女の泣く声が
ずっとずっと響き渡っていた

血のつながりもないのに
隣に住んでいるというご縁なのに
こんなに泣いてくれる人が居るんだ

母も優しい人、優しすぎる人だったから
この若夫婦に何らかの手を差し伸べたのかもしれない

悲しみは
後から後から
ずっと追いかけてくる

周りの人の反応
次々に送られてくるお供えの品
お悔みの電話、お手紙・・・

街で母に似たような背格好の女性を見つけると
無意識に目で追ってしまう自分がいた

母の従姉妹と
父の病院の最寄り駅で待ち合わせ
顔も背格好も母に似ている

「お母さんが来た!」と錯覚してしまった

悲しみも
そして尊大型ASDの人から受けた心の傷も
時が経つと受け止め方は変わってくる

しかし、決して白紙に戻せるものではない

特に心の傷は治らない
塞がらない傷に絆創膏を貼って
対処療法をしているに過ぎない

ホワイトボードに書かれた文字を
イレイザーでサッと消せるように

そんな簡単に
消そうと思えば消せるものではないのだ

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